涙空*°。上
卒業アルバム
―龍樹said―

この前の海旅行で、
凜と胡桃が話しているのを少し聞いた。



『元彼に逃げられた』
そんなようなことを胡桃は言っていた。


逃げられたって、なんだよ?

別れたんだろ?
まったくどうしようもねぇな。




今、目の前ですやすや眠る凜をみて、
どう疑えっていうんだよ。



まぁ、疑ってなんかねぇけど。




俺は凜の部屋を見回した。

女の部屋には何度か入ったことあったけど、なんか雰囲気違う。

綺麗に整頓された家具と、
ピンクと白でまとめられた、
いかにも、凜って感じの部屋。

部屋は凜の匂いでいっぱいだった。
香水は別につかってないって聞いた。




俺はふと、
『卒業アルバム』
と書かれたものに目がいった。


凜は寝てるし。まぁ、いーよな。

俺は卒業アルバムに手を伸ばした。



『霞ヶ丘....?』
どこかで聞いたことがあった気がしたけど...なんだっけな。



俺が構わずページを捲ろうとした瞬間....


挟まっていたと思われる写真が
アルバムの中から滑り落ちた。



それを広いあげて裏返しにすると....








『嘘....だろ?』
霞ヶ丘?聞いたことある?
俺はなに甘ったるいこと言ってんだよ。








『夏樹....?』






そこに写っていたのは....








双子の兄、日向夏樹だった。







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