涙空*°。上
―龍樹said―

俺は凜の家を出て、
未遥に電話を掛けた。


«何?どうかした?龍樹くん»
未遥は少し驚いたような声を出した。





『聞きたいことあんだけど』

«ぁ....っと、ごめんっ今日は無理....彼氏と一緒にいるんだ....ごめんね»

『わかった。じゃ、また連絡する』

俺は電話を切った。



そして、俺は夏樹に電話を掛けた。



少しして、夏樹は電話に出た。

«ぉお龍樹、どした?»
いつもと変わらない兄貴の声。


『夏樹、更級 凜と付き合ってたのか』
俺は単刀直入に聞いた。






«....それって、今の龍樹の彼女だろ?姉貴から聞いたよ»
ほんの少し遅れて、夏樹はそう言った。






『ぁあ、そうだ。でもお前の元カノだろ』
俺は低い声を出した。





«....ちげぇよ»
耳に押し当てたスマホからも
低い声が聴こえた。






なんでこいつは嘘ついてんのかわからなかった。
俺に気を使うような理由もねぇのに。



『嘘ついてんじゃねぇよ』



«....嘘じゃねぇ»

『じゃぁ、さっきからその間はなんなんだよ、いい加減にしろ』
夏樹は嘘が昔から下手だった。



態度や顔にすぐ出る。
なにより、会話に間ができる。





«....もぉ関係ねぇだろ。大事にしてやれ»


『お前、あいつのことす...プーップーッ
夏樹は強引に電話を切りやがった。


『おぃこらてめぇ!!』

逃げやがった...なんなんだよ。ったく...




俺はタバコに火をつけた。





『直接話すしかねぇか』





あいつが凜を捨てるとか、
信じられねぇ。
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