病愛。【完】
颯side




伊藤のいとこの恭平。




ときどき伊藤から名前は聞くが…





まさかそんなに異常な奴だったなんて。








「話、するか。」





俺はそう呟いた。





伊藤を怖がらせるなんて…





許せない。




縛られた生活?




なんで伊藤の人生なのに、そいつに決められなきゃならねぇんだ。






そんなときだった。






「颯さん?」





俺に話しかけてくるのは…




「確か…伊藤の…」




「はい。弟の真です。」





俺は伊藤の話を思い出した。




確か真も恭平と接点があったはず…







「真。恭平ってどんな奴なんだ…?」




俺が聞くと真はうつむいて




「俺は嫌いです。あの男…」




と言った。





「そういえば伊藤、すげぇ心配してたぞ。」




「本当ですか?…綾香は優しいですから。」




真は悲しそうな目をしていた。





「心配なんです。綾香が…恭平にあやつられることが…」





真の気持ちは痛いほどわかった。





伊藤を大事に思ってる気持ちは俺と変わらないから…






「なぁ。俺、そいつに会いたいんだけど…?」





俺が言うと真は頷いて





「じゃあ今日、うちに来ませんか?」






そう言ってくれたのだった____
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