白い海を辿って。

「なんで知ってるんですか?」

『そんな怖い顔すんなって。昨日見たんだよスーパーで。楽しそうに買い物しちゃってさ~カゴ持ってあげてさ~。』

「…そうでしたか。」


高嶺さんも近くに住んでいるのだから、偶然出会っても何の不思議もない。

言われていないだけで、他の同僚や生徒にも一緒にいるところを見られているのかもしれない。



「声かけてくれれば良かったじゃないですか。」

『かけようと思ってタイミング見計らってたんだけど、なんか俺が照れちゃってさ。』

「なんですかそれ。」

『お前もあんな顔するんだなって思って。デレ~ってさ。かわいい~って顔に書いてたぞ。』


そんなわけないと思うが、強く否定できないところが恥ずかしい。

顔に出てしまってもおかしくないくらいに、そう思っているのは確かだから。



「デレてないっすよ。」

『まぁまぁまぁ、分かるよ。滝本さんすげぇ可愛くなってたし。』

「ちょっと、」


念のため否定した俺に余計な一言を残して、高嶺さんが言い逃げのごとく走り去る。



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