白い海を辿って。

「あの。」

『安心しろって、言いふらしたりしないから。』

「お願いしますよ。」


高嶺さんはそんなことしないと分かってはいるが、どこか不安に思っている自分がいる。

高嶺さんは彼女のことを知っているからいいが、知らない人から紹介しろとか言われたくなかった。



『誰か知ってる人いんの?』

「早見さんには報告しました。あと、理瀬さんと。」

『なんだよ、ますます水くさいな。俺滝本さんの担当だったんだぞ。』

「すいません。タイミング難しくて。」


そういえば、高嶺さんは彼女の担当だった。

彼女が通っていた頃のことは、俺よりもよく知っているのかもしれない。



「そういえば…なんで担当早見さんじゃなかったんだろう。」

『え?何?俺滝本さんから嫌われてた?早見さんの方が良かったとか言ってた?』

「いやいや、言ってないです大丈夫です。こっちの話です。」


必死に否定して、本当か?という高嶺さんをなだめる。

高嶺さんは、彼女を担当するにあたって早見さんから何か聞いたのだろうか。



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