白い海を辿って。
「なにやってるんだろう…私。」
『滝本さん。』
先生が空けてくれたソファーに座り込んでやっと冷静になれた私を襲ったのは強い自己嫌悪だった。
先生に迷惑ばかりかけて、変なことに巻き込んで。
こんな形でまた会ってしまうなんて、先生を困らせるだけなのに。
『俺は嬉しかったよ。』
「え?」
『滝本さんから連絡がきて。俺に助けを求めてくれて。』
そんな私に先生がかけてくれた言葉が、声が、とても優しく心に届く。
私の傍へ来てラグの上に座った先生の表情は、とてもまっすぐで強かった。
『遠くへ行ってしまった滝本さんがまた戻ってきてくれたみたいで。不安なときに俺を思い出してくれて嬉しかった。』
「先生…。」
『他に誰かに電話したけど繋がらなくて俺だったとしても、消去法で俺だったとしても、思い出してくれて嬉しかった。』
「先生だけです。先生しかいませんでした。」
先生の言葉に涙がこぼれる。
迷惑だと、面倒だと言われなくて、心から安心した。