白い海を辿って。

会いたくなったら連絡してもいいですかと聞いた滝本さんの言葉が、ひとりになった俺の支えだった。

あれから2週間経った今も連絡は来ないけれど、あのとき突き放されなかったことにほっとしている自分がいる。


滝本さんのことを考えると、傍にいるのは俺なんかよりもっと良い人がいるはずだ。

例えば早見さんのような、もっとしっかりしていて安定感のある人。



『少しは落ち着いたか?』


そんなことを考えていると早見さんに声をかけられた。

離婚したことはもう既に職場に伝わっている。

中でも1番気にかけてくれるのはやっぱり早見さんだった。



「はい、なんとか。」

『ちゃんと飯食えよ。また痩せたんじゃないか。』


様々な手続きや引っ越しをしていると、気付かないうちに体重が落ちていた。

食事をしっかりとっているつもりでも、その体重はなかなか戻らない。



『あんまり思い詰めるなよ。お前だけが悪いわけじゃないんだから。』

「いや、でも…」


やっぱり俺が悪いんだと思う。



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