毒舌紳士に攻略されて
「べっ、別にデートってわけじゃっ……！」

「なーに言ってるのよ！正真正銘、立派なデートだったじゃない！」

うっ……！なにも言い返せない。
そうなのだ。つい先日の日曜日。坂井君と二回目のデートというものをしてしまったのだ。


＊　　＊　　＊

「おかしくないかな？」

日曜日のお昼過ぎ。洗面台の鏡の前でメイクやヘアースタイルを入念にチェックする。
どうして日曜に昼過ぎにこんなことをしているのか。それは今朝突然かかってきた電話のせいだった。

明日からまた仕事だし、金曜日には同期会が控えていることもあり、今日ばかりはゆっくり家で過ごそうと思っていた。だから朝だって少しくらい寝坊してもいいや、と思って遅めの時間に目覚ましをセットしていたものの、その時間よりも一時間早い時間に突然電話が鳴り出したのだ。

まさか日曜の早い時間に電話がかかってくるとは思わず、半分夢心地のまま電話に出ると、すぐに聞こえてきたのは坂井君の声だった。
しかも一言、「一時に迎えに行くから」と――。
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