毒舌紳士に攻略されて
そして今のままの自分ではいけないってことも、ちゃんと分かっている。
でも分かっていても、ちゃんと行動に移せないのが私なのだ。

「本当に分かっているのかな」とブツブツと呟きながらも、自分の仕事を再開させる琴美。
経理課に今年配属されたのは私と琴美だけ。
タイプも性格も違うけれど、同じ配属先というだけで、自然と仲良くなれた。

いつも心配してくれる琴美に感謝しつつも、仕事を再開させる。


今年入社した新入社員は、私が勤める本社と支店を合わせ三十名程だった。
今や不況の時代。そんな中で入社できたのは本当に奇跡だと思う。
そしてそんな狭き門を潜り抜けてきた同期同士による、仲間意識は強くなっているとか。
かくいう私達も入社して半年以上経つが、配属先がバラバラにもかかわらず、毎月一回は必ずみんなで集まって【同期会】というものを開催していたりする。



「……終わった」

定時を三十分過ぎた頃、少しずつ同僚が退社していく中、やっと今日中にやらなくてはいけない仕事を片づけ終わり、思わず声が出てしまった。

「お疲れ。大変だったね」

どうやら琴美も仕事が終わらず残業していたようで、私の声を聞いては「お疲れ」と声を掛けてくれた。
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