毒舌紳士に攻略されて
日替わり定食を食べながらも、考えに耽っていると、なぜか目の前に座っている琴美は自分の眉間を指指してきた。

「え、なに?」

意味が分からず尋ねると、琴美は信じられないと言いたそうに目を見開く。

「やだ、気付いていないの?……ここ、すっごい皺が寄っちゃっているよ」

「嘘っ!」

咄嗟に自分の眉間に手を当てるものの、今となっては本当に寄っていたのか、分からない。

「本当だって。つまりあれでしょ?私の彼氏にキュンとしないで!悪く言わないで!っていう気持ちが眉間に全部集まっちゃったんでしょ?」

ニヤニヤしながら言ってきた琴美に、思わず咳払いしてしまう。

「べっ、別にそういうわけじゃ……!」

「はいはい、付き合っているくせにそういう照れはいらないから。……よかったね、めぐみ」

先ほどとは違い、からかう様子も見せず本当に嬉しそうにしみじみ言われては、逆に恥ずかしくなる。

「……うん」
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