イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「明日も今みたいにボーッとしてられると困るんだけど。言ってみなよ。何考えてた?分が悪いって何が?」

 ……何でそんな小さな事イチイチ覚えてるのよ!

「本当になんでもないので、気にしないで下さい」

「このまま帰って明日ちゃんと仕事出来るの?」

 瑠海が私に近付き、少し怖い顔で腕を組み詰め寄る。

「……出来ます」

呟くように小声で答える。

「聞こえない」

「出来ます!」

声を張り上げたが、ボスは納得しなかった。

「ちゃんと目を見て言ってくれない?」

 瑠海が組んだ腕を指でとんとんと叩く。

 あー、ちょっと苛立ってる。

 これはカウントダウンの始まりだ。

 このままだとまたネチネチネチネチ言われちゃう。

「あ、兄の後輩から食事に誘われてて……どうやったら上手く断れるかなって考えてて。兄は私とその人を結婚させたがってるみたいで……このままだとワシントンに行かなきゃいけなくなるんです」
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