イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「今ワシントンに行かれては困るんだけど。秘書がコロコロ変わると仕事にならないんだよね。辞めるならフランス語の出来る後任見つけてからにしてくれない?」

「辞めるなんて言ってません!」

「じゃあ、どうする気?君のお兄さんはなかなか優秀みたいだし、すぐに恋人でも作らない限り諦めないと思うよ」

「……恋人」

ギョッとする私に、瑠海はとんでもない提案をしてきた。

「俺が恋人役をやって諦めさせてあげても良いけど」

 目が笑ってる。

 この人、人の不幸を面白がってるな。

「結構です。瑠海が恋人役やっても信憑性ないですから。むしろ、近所のコンビニの店員さんの方がリアリティーあります。こうなったらあの店員のお兄さんに頼んでみようかな。うん、いい考えだ。そうしよう!」

 瑠海の申し出を断り、一人うん、うんと頷くが、何故か瑠海の表情は曇る。だが、そんな彼の反応はスルーして、ニコッと微笑んだ。

「恋人役のアイデアありがとうございます!お陰さまで明日は集中して仕事出来ます」
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