イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「笑うなあ!紳士なら気づかぬ振りするもんですよ!」

 桃華の顔は真っ赤だ。

 照れ隠しなのか、空いた方の手で拳を握ってブンブン振り上げる。

「笑ってないよ。気のせい、気のせい」

 駄目だ、笑いがおさまらない。

「嘘です!頬がぴくぴくしてます」

「それも気のせい。目悪いんじゃない?」

「コンタクト入れてるんで大丈夫です」

「やっぱり悪いんだ?きっと合ってないんだよ。もしかしてもう老眼とか?」

少しいじれば、彼女は口を尖らせた。

「二十七で老眼なるわけないじゃないですか!」

……俺とひとつしか変わらないのか。二十四くらいかと思った。やっぱり、日本人は実年齢より幼く……いや、若く見えるな。

「二十七ねえ。桃華の行動はどう見ても小学生だな。もっと大人にならないとね。俺がいろいろ大人の振る舞いを教えようか?」

「余計なお世話です。相手がちゃんとした大人なら私も大人の対応します!」
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