イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「こんばんは」

 瑠海が笑顔で挨拶する。

 初めての店ではないらしい。

 でも、意外だ。

 瑠海みたいなセレブは、高級店しか利用しないのかと思ってた。

「いらっしゃい。珍しいねえ。今日は可愛いお嬢さん連れて」

 坊主頭のご主人が私を見てニヤニヤする。

「会社の同僚なんだ。今日はあれある?」

「ああ、あるよ。ちょっと待ってな」

 あれって何だろう?

「ここは、美味しいカニを食べさせてくれるんだ」

「カニですかあ?」

 思わず顔がほころぶ。

 最近、カニ食べてない!

 頭の中はカニコール。

 ワクワクしながら待つこと数分。
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