イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「その発言、他の男の前ではしないでね。勘違いするよ。もっと危機感持った方がいいんじゃない?」

「だって身体がポカポカして眠いんですもん。ふふ」

幸せな気分でそんな発言をすれば、瑠海はギョッとした顔になった。

「ちょっと待った!送ってくからここで寝ないでよ。家はどこ?」

いつも余裕顔の上司が慌てているのが面白い。

「ふふふ、どこでしょう?」

「どこでしょうじゃない!この酔っ払い」

「瑠海のお家の近くですよ。もう寝るんで起こさないで下さい」

「寝るな!寝るならせめて住所言ってからにしてくれる?」

 瑠海が私の頬を軽くつまんで耳元でグダグダ言っているが、そんなの構うものか。

 眠気には勝てません。

「えへへ、おやすみ……なさい」

 幸せな気分で夢の中へ。

「……嘘だろ?本当に寝た。信じられない」

 呆れたような瑠海のそんな呟きが何となく聞こえたが、もう知らない。
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