イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 タートルネックを着ているという事は、キスマークに気づいたのだろう。

 眉間にシワが寄っている。

 機嫌は良くなさそうだ。

「おはよう」

 俺がいつものように笑顔で挨拶すると、桃華はギッと俺を睨みながら挨拶を返した。

「おはようございます!」

 身体に触れようものなら噛みつかれそうだ。

「桃華、私、今日からイーサンの秘書になったの。いろいろ教えてね」

セーラが笑顔で声をかければ、桃華は目を丸くした。

「え?本当に?でも……桜井さんは?」

「心配はいらない。イーサンが彼女に何か魅力的なポストを用意するだろうから」

俺がすかさずそう言えば、桃華は小さく相槌を打つ。

「そうですか」

「それから、来週のフランス出張、小笠原氏のフランス大使就任のパーティに出席するから予定にいれておいて。もちろん桃華もだよ」

笑顔でそう告げれば、桃華は驚きの声を上げた。
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