イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 なんだかくすぐったい感じ。

 でも、この手を今は離したくない。

 救助隊に助けられて山を下りると、セーラが走って来て私を抱き締めた。

「桃華、ごめんね。無事で良かった」

「大丈夫だよ。私こそ、心配かけてごめんね」

 私がセーラの肩をポンポンと優しく叩いていると、兄がゆっくり近づいて来た。

 お兄ちゃん、パリからわざわざ来てくれたの?

 セーラが連絡してくれたのだろうか?

「無事で良かったな。病院で精密検査は念のため受けろよ」

「うん。心配かけちゃってごめんなさい」

「妹さんを危険な目に遭わせてすみませんでした」

 瑠海が兄の前で深々と頭を下げる。

「あ、兄は悪くないんです。私が桃華を強引に誘ったのが原因で……ごめんなさい」

 セーラも瑠海の横で兄に頭を下げた。
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