イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 そこを透かさず瑠海に支えられ、そのまま抱き締められた。

 さっきのキスがよみがえる。

 私……瑠海が好きなんだ。

 自覚してしまうと、この状況はすごく恥ずかしい。

 身体中の熱が顔に集まって、顔が真っ赤になった。

 今、瑠海を正視することが出来ない。

「桃華、しっかり。そんな顔してたら俺の事好きなんだってみんなにバレるよ」

彼の言葉に顔が一気に青ざめた。

「本当にトイレに行きたいなら右側にあるよ」

 瑠海は抱擁を解くと、私の頬に優しく触れる。

 私はウェアを持って逃げるようにしてトイレに駆け込んだ。

 まずは落ち着かなくては……。

 顔を軽く洗って熱を冷ますと、ウェアを着て瑠海のところに戻った。

 救助隊の人達が四名ほどいて瑠海が状況を説明していたが、私の顔を見ると彼はにっこり微笑んで私の手を握った。
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