イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 下手すると私って背が低いし中学生くらいに間違われるかも……。

 でも、今はそれはそれで好都合だ。

 夕方までには戻るし、問題ないだろう。

 見てみたいお店は昨夜ネットでチェックした。

 折角ルクエにいるのだ。

 美味しいカフェでお茶したり、可愛い雑貨屋さんを見て回りたい。

 そう言えば、お姉ちゃんのお腹の中の赤ちゃんにも何か買ってあげたい。

 私にとって初めての姪か甥だし。

 隣の部屋にいるはずの侍女さんは、毎日この時間はいなくなる。

 ふふん、調べはついているのだよ。

「さあ、いざ行かん、ルクエの街へ」

 鏡の中の自分に向かってにっこり微笑むと、こっそり部屋を出た。
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