イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
「桃華。正直に言ってごらん」

 声は優しいが、瑠海のその目はやはり私の心の中を見透かしていて、何としてでも私の口から答えを言わせようとする。

「……キスして欲しい」

観念して自分の思いを伝える。

 とても小さな声だったけど、瑠海には十分聞こえたらしい。

「しても良いけど、キスだけで終わらないかも。それでも良い?これでも桃華のために自制してるんだよ」

「え?」

 キスだけで終わらない?

 それはつまり……今度こそって事で……。

 二十七だけど恥ずかしながらキスの先は知らない。

 知らなくても良いって瑠海に会うまではずっと思っていた。

 なんだろう。

 今、無性に瑠海が欲しい。

 身体が彼を求めて熱くなる。

 瑠海にもっと近づきたい。
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