イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 普通、ちょっとって言ったら、このビルの周辺でしょう?

『余程信用されてないのね』

 お局が楽しげな声でクスリと笑う。

『ヘリの手配も飛行機の手配も私がしたから問題ないわよ。それに、13時の会議の連絡も私がしておいたから』

 お局が恩着せがましく言ってくる。

 だが、今はお局に対する怒りよりも、瑠海に対する怒りの方が遥かに勝っていた。

「すみません。いろいろとありがとうございました」

 形式ばかりのお礼を言ってさっさと内線を切る。

 腸が煮えくり返っていた。

 思い出されるのは別れ際の瑠海の顔。

 奴は笑っていた。

 スケジュールは適当に調整してって言ったのはこういう事ですか?

 ビルの周辺で食事するものと勘違いした私も悪いけど、あいつは私が勘違いするように故意にああいう言い方したんだ。
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