イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 新しい大使の横に写っていた男だ。

 スマホで再度メールに添付されていた写真を確認する。

 大使……小笠原徹。

 参事官……相澤修。

 相澤?

 桃華と同じ名字。

 だが、桃華もあの男も指輪はしていなかった。

 こうして写真を見ていると、凛としている佇まいがどことなく桃華に似ている。

 それに涼しげな目元も。

 恐らく血縁者だろう。

「兄か……それとも従兄か」

「は?何の話だ。お前、眼がすっげー輝いてるけど。そんなに気に入ったのか、新しい大使?」

「いや、気に入ったのは参事官」

 俺はニヤリとする。

 後で本人に確かめてみないとな。
< 62 / 311 >

この作品をシェア

pagetop