絶対に逃げられない部屋



僕は美和に何が起きているのかたずねようとした。



しかし呼吸もしづらくて、なかなか声が出ない。



体中のあちこちが、呼吸に合わせて激しく痛む。



少なくとも、あばらは折れているようだ。



それでも何とか力を振り絞って、僕は言葉を吐き出した。




「なぁ・・・一体何が起きたんだ? なんで僕は病院なんかで怪我して寝てるんだ?」



美和は泣きじゃくりながらも答えてくれた。




「何が起きたって・・・。事故のこと覚えていないの? 竜也はずっと意識不明の重体で生死をさまよっていたんだよ」




「じ・・・こ・・??」




「そう。竜也と綾乃と良太の三人でキャンプ場に向かってる最中、竜也が運転する車が高速道路の壁にぶつかって。それで3人とも意識不明のまま、この病院に運ばれたんだよ」




あっ・・・。



僕は美和から事故という言葉と聞いた瞬間。





僕はすべてを______





”すべて”の記憶を取り戻したのだ。



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