最低王子と恋の渦
「み、三鷹くんもしかしてほんとにいるの…っ?」
「……」
否定しない!?
これは大発見だ……!
「誰!?」
私がズイと体を乗り出すと、三鷹くんは至極嫌そうな顔を私に向けた。
「まだなんにも言ってないのに勝手に話進めないでよ」
「あ、ごめんっ…。でも、いるんでしょ?」
恐る恐る聞いてみると、三鷹くんは私から目を逸らして少し俯いた。
「……」
――ピピピピッ…
と、そこでタイミング悪く体温計の電子音が響いた。
私はあわあわと体温計を取り出す。
測ってたの忘れてた…!
「……測るの遅くない? 俺が測ってって言ってからだいぶ経つよね」
「あ、えと…忘れてて、お粥食べる時に入れました…」
「ほんとに馬鹿だね。何度?」
「…あ、37度2分! めちゃくちゃ下がってる!」
どうりで今朝よりしんどくないわけだ。
頭痛もないし。
「ありがとう三鷹くん!」
「…え?」
「こんなに元気になれたのも三鷹くんがいてくれたからだよきっと。分かんないけど」
「一言余計」
そうしてまた私は笑う。
なんだか、こうして三鷹くんと話すのがすごく落ち着くようになってる。
前までは悪いイメージしか持ってなくて、あんまり話したくないなって思ってたけど…。
本当に良かった。