晴れ時々@先生の妹【第2巻】
二戸 梨杏が「ハッ―!」と小さな声を上げながらバランスを崩し、ベンチの端から体がずり落ちそうになる。
――危ねっ!
すかさず、中村先生がベンチの手すりにドンッと手をついて落ちそうになった二戸 梨杏の体を食い止めた。
パチパチと瞬きをして間近にある中村先生の顔を見ている二戸 梨杏。
――先生、顔近すぎて直視できないよ。
優しい笑顔を浮かべる中村先生。
「助けてやったのに、俺にお礼もないのっ?」
「………………。」
目をギュッと固く瞑る二戸 梨杏。
――えっー、もうヤダッ!
さっきまで優しい笑顔だった中村先生が意地悪な笑顔に変わる。
やっぱり、二戸 梨杏の困った顔を見ていると、気持ちがモヤモヤして“可愛い”と思ってしまう、俺。