変のみ成らぬ愛の糧。
欲の赴くままに組み敷いた身体に、
本能に忠実に這わせる舌を
僕は間違っていないと信じたく思う。
きっとこの相手はもう僕を見ない。
以前のように愛されるのは
もう無理なのではないかと感じる。
愛されるには少し、僕と相手では
ズレというのか何か、違いが大きく、
噛み合わないのではないかと。

痛いだとか、嫌だとか。
怖いだとか。そんな言葉が充満した。
それを僕の好きや愛してるで
かき消したから何も聞こえない。
聞こえないことに越したことはない。

猫の交尾も丁度僕と相手のように、
雄が雌に噛み付くのだから。
言い訳のように脳に刻みつける。
噛み付かれても雌はそれが普通で、
特におかしくはなくて普通で。
自分に言い聞かせるように。
自分の行いを正当化するために。

自分の下で涙を零し続ける君を、
僕は熱で穿ち、歯を立て、愛した。
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