幽霊になった彼

毎日泣いてばかりいる私
会社にも行く気にもなれずに、ただひたすら春騎との思い出を繰り返し思い出す
二人で撮った写真
この写真の中には、春騎と私が居る
幸せそうに笑う二人が居る
この時はまだ、二人は結婚へと進んでいた
もう…進むことのできない道
私だけ取り残された気持ち
ﾄｭﾙﾙﾙ　ﾄｭﾙﾙﾙ　ﾄｭﾙﾙﾙ…
ｶﾞﾁｬｯ
『もしもし？悠那ちゃん？』
この声…懐かしい声
『春…騎？』
『ｺﾞﾒﾝ…俺、龍眞だけど、大丈夫かなって気になって』
春騎の声に似てたんだね
初めて気付いたよ
何度も聞いたことあるのに
『ｺﾞﾒﾝね。春騎の声に似てたから…』
『何してた？』
お兄ちゃんがなくなって、龍眞くんだって辛い筈なのに私の事まで気遣わせて最低な私
『写真みてた。春騎と私の思い出の…。ｺﾞﾒﾝね心配させてしまって。でも大丈夫だよ』
『泣いてたろ？…声が…』
『何にも手につかなくて、会社にも…毎日写真みてるだけ…』
『そっか…あのさぁ、家に夕飯食いにこないかってお袋が言ってんだけど。俺迎えに行くからくれば？！』
おばさん…おばさん自身ショックが大きすぎて本当は何も手につかない程なはずなのに。