花火
「ごうくんっ」
「花火っ!?」
ごうくんが入るお風呂にはいった。
「どうしたの?」
「んーん、背中ながすよ」
「え、あ、うん」
湯船に浸かり、ごうくんに背をむけた。
「花火、どうかした?」
「なんか、ごうくんと一緒にいたいの」
「俺はいるよ?」
「んー、ごうくん、私…」
「ん?」
「ごうくんのこと大好きになっちゃった」
「花火…嬉しいよ」
ごうくんがぎゅっと私を抱きしめた。
お風呂をでて、ソファに腰かけお互いの髪を乾かし2人ならんでコーヒーを飲みながらテレビをみてゆっくりした一日だった。
毎晩ごうくんは私を抱きしめてねる。
私はそれが安心でもあり、幸せでもあった。
2日。
ごうくんが友達を家に呼んだらしく私に紹介してくれると。
いつも以上に料理をつくり、少し緊張しながらまった。
合計5人の友達がきて、みんなでお酒をのみ昔の懐かしいはなしをしていた。
「けどさぁ、ごうこんな可愛い彼女どこで口説いたんだよ」
「お前聞こえが悪いなあ。花火は…友達の後輩友達だったんだよ」
「とおいな。」
「けど、今こうしていられることが俺幸せだから」
「おいおい、惚気かよー」
「花火ちゃん、ごうなんかのどこがよかったんだか」
「お前なぁ」
「ごうくん…優しくて、頼りになって、私のことちゃんとみてくれて、年下だからって見下したりしないで、お仕事終わったらすぐ帰ってきてくれて、私のこと守ってくれて、私…ごうくん…大好きなんです。」
「花火ちゃん、かわいいね」
「ごうお前ずるいわあ」
「お前にはもったいない」
「お前らなあ。ほんと。」
みんながかえり、ごうくんと後片付けをしていた。
「あ、リキヤくん時計忘れてる」
「あ、もぉ、あいつ」
「私、届けてくるね!」
「夜遅いし、俺いくよ、」
「大丈夫!ごうくん、お風呂はいってて?」
「ほんとに大丈夫?」
「うんっ携帯もってくし!」
「気をつけてな」
「はーい」
エレベーターをおりて走って駅の方向をみると、リキヤくんがいた。
「リキヤくーん!!!時計!!」
あっという顔で私のほうへ小走りできてごめんと一言。
「ありがと、ごめんね?」
「んーん、じゃ、気をつけてね」
「花火ちゃんもね、ごう…ちゃんとみときなよ?」
「え?どゆこと?」
「んーん、じゃあね」
リキヤくんの背中を見届けて私は走って家に帰った。
玄関に入ると靴が増えていて誰か忘れ物でもしたのかと思った。
「ただいま、ごうくんだれかわすれ」
「花火…」
「仁……?」
仁がごうくんの首をしめていた。
「ちょっ……やめて!!!!」
私は仁に体当たりした。
ごうくんの首から手がはなれ、仁がはなれた。
「ごう…ごう……」
むせながら仁を睨むごうくん。
仁もごうくんを睨んでいた。
「仁…あんたどういうつもり…」
「花火…お前はこいつのせいでおかしくなったんだろ!!なら俺がこいつ殺してやるよ!!」
「ふざけないで!!ごうくんのせいじゃない!!私がきめたの!!あんたと別れることも!!ごうくんと付き合うことも!!私がきめたの!!ごうくんが死んでも変わらない。私はあんたじゃない!ごうくんがすきなの!!」
「花火…なぁ…こいつのせいだろ」
「違う!!私…私…援交してたの!」
「は?」
「知らないそこらへんのおっさんに身体うってたの!!」
「花火…なにいってんだよ」
「私はあんたにずっと嘘ついてたの!私…ごうくんがはじめてたの。」
仁は真っ青な顔をしていた。
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