シンデレラは硝子の靴を
「はっ、はやすぎっ…」




文句のひとつでも言ってやろうと、口を開くが。




「お前運転して。」




石垣の信じられない言葉に、沙耶はぎょっとする。




「はぁ?むむ、無理に決まってんでしょ、こんな車ぁー!」



「大丈夫だって。俺助手席に乗るから、ドア開けて。」



沙耶の訴え空しく、石垣は助手席の前に当たり前のように立っている。



「なっ、なんであんた運転しないのよぉー、つーかそれくらい自分で開けなさいよっ」



「うるせぇ。早くしろ。」



「っっ!!」




いつもの俺様かと思いきや、石垣の様子はやはり何かがおかしい。



沙耶は仕方なく助手席を開け―




「死んでも恨まないでよね。私は死なないけど。」




石垣にそう言い捨てて、ドアを閉めた。




―なんで、急に…



色んな事がありすぎて、沙耶の情報処理能力は著しく機能が低下している。



―つーか、フェラーリ!よりによってフェラーリとか!



運転免許は、父に勧められ、18になって直ぐにとったから、あるにはある。


しかし、直後に父が急逝。

車なんて持つ余裕もなく、当たり前の如く沙耶はペーパードライバーとなった。



つまり教習所を出てから、一度も乗っていない。




―ほんと!知らないから!




沙耶は自棄になって頭をぐしゃぐしゃぐしゃと掻き毟ってから、運転席に乗り込んだ。
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