シンデレラは硝子の靴を
無論、駐車場も混雑している。


見回してみても、停められる場所はありそうにない。




「そんな急に思い立って来れる場所じゃないのよ、ここは。予約がい~っぱいで取れないんだから!」



情報を知っていた沙耶が偉そうに先輩風を吹かせるが、案の定石垣は完全無視を決め込み、車を店の前に横付けする。



「ちょっと!こんなんじゃお店に迷惑じゃない!怒られるわよっ!あ、こらっ!」



窘める沙耶を置いて、石垣は車から降りて、店の階段を上る。



―あんにゃろう。。。これだから周りが見えないボンボンは困るわね。どーせ、店の人に追い返されるわよ。



沙耶も外に出て、石垣がどやされるのを見てやろうとほくそ笑んだ。


しかし。




「これはこれは!石垣様!」



石垣が店に入るより先に、ドアが開いて、店員、、いやそれよりももっと立場の高い―恐らくオーナーらしき人物が出迎えた。



―は?!



その光景に沙耶は目を剥く。




「突然で申し訳ないんだが、食事できるかな?」



「はい、喜んで!今すぐご用意致します!」





満面の笑みを貼り付け、元気に返事をしたオーナーを見て、沙耶は苦虫を噛み潰したような顔になる。



―居酒屋かよっ。



若い店員が直ぐ出て来て、石垣から車の鍵を預かると、沙耶の居る方へ意気揚々と近づいてくる。


憧れのフェラーリ、駐車させるだけでも嬉しいという感情が駄々漏れの笑顔だった。




「さ、こちらへどうぞ。」




先立って案内するオーナーの後ろに続いている石垣が、ちらり、沙耶を振り返る。




「~~~~~~!!!」







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