シンデレラは硝子の靴を

―やけに親切な…




本当なら石垣と顔を合わせてご飯を食べるなんて御免被りたかったが、空腹が沙耶のプライドをねじ伏せてしまう。



その証拠に、抵抗なく助手席に座った自分自身に驚いている。




「何でも良いけど…そうだなぁ、あの国道沿いにあるファミレスの…」



一度食べてみたかったハンバーグプレート、と頭に図が浮かんだ所で。





「却下」




―じゃぁ、訊くなよっ。



思わずツッこみたくなるほどの即答。




「そういう、庶民の味はアレルギーだから、無理。」




じんましんがでると、真顔で呟く石垣。




「何それ。私は庶民の味しか知らないっつーの!」




カチンときた沙耶が喚くと、石垣がうーんと顎に手を当てて考える仕草をした。




「じゃー…フレンチ。」





「嫌がらせかっ!」




「ばーか、近いからだ。」





わぁわぁと騒がしい喚き声を乗せて、フェラーリが発車する。




石垣の言葉通り、ものの数分で着いた店は、コンビニでバイトしている時に並べた雑誌にもよく載っていた有名店。


沙耶には縁のない話なので、別段気にしていなかったのだが、人気で三ヶ月先まで予約がいっぱいになっている、と書いてあったのを、相方が読んで教えてくれたから、記憶に残っていた。



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