いじわるな君に片思い中。
お風呂からあがると
着信があったと知らせるスマホのライトが
光っていた。
私は慣れた手つきでロックを解除し
着信先を確認する。
「え…!!?」
思わぬ人からの着信に私は思わず
スマホを投げて口に手を当てた。
え。柴から着信がきてる…
うそ。うそだ。でもなんで?
なんで今?
そんな事を考えながらも
私は柴にすぐ電話をかけた。
プルルルルル
三回コールした後にプツッと音がして
『もしもし?』
といつもより低く聞こえる柴の
声が耳に響く。
愛しい声に冷め始めた体がまた熱くなった
「も、もしもし。さっき電話かけてきた
よね?なにかあったの?」
緊張のせいか声が少し震える。
『うん。あのさ、今日成宮と一緒に
帰ってた男、誰なの?』
「え。」
私はびっくりして耳からスマホを
一回離した。
もしかして嫉妬してるの?
ううん。ないない。
そんな事絶対ないんだから。
『成宮?』
柴の声が聞こえ、慌ててスマホを
耳にあてる。
「あ、ごめん。さ、早乙女さんと柴
凄くお似合いだよねっあははっ」
なぜか慌てる私はつい違う話題を
持ち出してしまった。
『話変えんなよ。
誰なのかって聞いてんの』
それは…
ってか何なのよ!?
彼氏でもなんでもないくせに
そんなこと質問してきて
これもまたからかい?
柴のいつものきまぐれ?
そのきまぐれに私は今までどれだけ
希望を感じては底に突き落とされて
きたと思ってんのよ。
全部あんたのせいだ。
「誰だっていいでしょ?
てゆか私に電話する暇あるなら
早乙女さんにしてあげなよねっ
じゃあね!」
プツッ
プープー…
「はぁ…」
自分から一方的に切った電話は
柴に切られるより酷く孤独と儚さを
感じた。
思ってもないこと言って、
ごめんなさい。