浮気彼氏から奪うオトコ。
「…付き合いだしてから、俺等はどんどん距離が縮まったんだ」
俺はさっき、妃鞠ちゃんの家に行った後、あの男を見た。
そう、彼は俺の大嫌いな人。
「で?何で俺に彼女との思い出を話すんだ?」
裏真ってヤツ。
妃鞠ちゃんが好きでしょうがないくせに、意地っ張りで残念な男。
「何となくだよ。気まぐれ」
「こんな話、妃鞠にもしてねぇんだろ?」
「うん。君に確認したかったんだ」
「はぁ?」
やっぱり…この男とかのんは付き合っていなかった。
それは確信していた。
でも―…、俺は彼女が嘘をついているとは思えなかった。
「…君以外裏真って苗字はいないんだよ」
「どういう意味だよ」
「彼女が自殺する前日に、裏真って男に裏切られたって言っていたんだ」