浮気彼氏から奪うオトコ。
「か、かのん…。何これ。わざと?」
「なわけないでしょ!頑張ったの!」
頬を膨らませる彼女の指先は、沢山絆創膏があった。
目の下にもクマが見える。
俺は愛しくなって、そっと頬にキスをした。
「なっ!」
「作ってくれたお礼」
「ちょちょ!は、恥ずかしいんだけど!」
「願い事、もう叶えてよ?待てない」
「え?え?何の?」
「言ったじゃん。勉強頑張ったら、って。テストじゃなくて、勉強だったでしょ?
俺、もう十分頑張ってるよ」
「もぉー、仕方ないなぁ。どんなお願い事?
車欲しいとかはなしだよ!?」
「かのんが欲しい。俺と付き合って欲しいんだ」
あの時、彼女が本当に驚いて、それから嬉しそうに笑った表情は、
彼女がいなくなった今でも、鮮明に覚えていた。