浮気彼氏から奪うオトコ。





布団にもう1度寝転ぶと、クッキーの袋を見つめた。


「…そういえば、廣クンはいっつも風邪引いたら、持ってきてくれたなぁ」



ふと考えているうちに、眠たくなってきた。




―妃鞠ー。風邪引いたのかぁ?

―うん…。

―無茶しすぎなんだよ。

―ごめんねぇ、今日日直だったのに。

―それはいいけど。ほらこれ。

―?

―クッキー。




甘いクッキーを渡す廣クンは、どこか似合わなくて。

つい笑っちゃったっけ。



それに、駅前のクッキー普通のクッキーと違うんだ。

甘いクッキーの上に、赤いチェリーが乗っかってるの。



その部分がとっても好きで、1つのクッキーを大事に食べていた。

それを見た廣クンが「喜んでくれてよかった」なんて、
照れくさそうに言うから、

クッキーも廣クンももっと好きになっちゃったっけ。




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