浮気彼氏から奪うオトコ。
そこまで言うと、彼女は薄らと瞳に涙を溜めていた。
「蒼斗が隣にいると、凄い安心してね…。
いっつも私が作ったお守りを、大事そうに持っていてくれたの。
それが嬉しくて…。
不良をやっていても、私を1番に考えてくれるから。
だから信じていたんだ。
そんなある日…、とある男に出会った」
苦しそうに俯いた彼女の背中を、ついさすっていた。
「…その男は無理やり私を抱いたの。
最低でしょ…?そのショックで次の日…ふらついているところを、
偶然自転車にはねられちゃって。
記憶がずっとなかったの」
―記憶喪失。
昨日廣クンが言っていた事と同じだった。
「それを知った、あの男は……私の彼氏だと偽った…」