浮気彼氏から奪うオトコ。
自分のケーキ代はポケットに入っていたお金で払って、店を飛び出した。
「…蒼斗クン」
彼はきっと今、泣いているだろう。
復讐相手が見つかったのに、何も復讐せずに終わってしまったのだから。
悔しくてたまらないときは、あたしが傍にいてあげなくちゃ―…。
病院に着くと、蒼斗クンは外のベンチに座り込んでいた。
「蒼斗クンっ」
「妃鞠ちゃん…」
ぎゅうっと抱きしめると、蒼斗クンはせきを切ったように涙を流した。
あたしは時々背中をさすっては、蒼斗クンを抱きしめ返していた。
「あたしは…絶対にどこにも行かないから。だからお願い。
復讐なんて考えないでね…?」