浮気彼氏から奪うオトコ。





そのまま新しい家まで、バイクは走り続けた。

町並みがどんどん変わって、眠気も強くなってしまう。




「妃鞠ちゃん、寝ちゃダメだよ?」

「んー…」

「家帰ったらいっぱい寝れるんだから」

「それもそうだけど…」



ふと思えば、学校までどのくらい距離があるんだろ…。


「明日から俺大変だなぁー」

「んー?」

「学校まで遠いんだもん」

「えぇ?」

「でも妃鞠ちゃんが、こうやって抱きついてくれるなら、無理しちゃうね」

「ちょ、ちょ」

「俺、結構心配症だからね」



やっぱり学校まで遠かったんだ…。

それなのに無理をしてまで、あたしを連れて行ってくれる蒼斗クンは本当にカッコいいなんて思った。


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