龍乃一味のカオスな学園生活
午前7時。

龍乃と小夜が天神学園に向かう。

龍乃は中等部の生徒、小夜は初等部の教師。

龍太郎は丹下道場の道場主として、まずは道場の掃除から始める。

板張りの床を雑巾がけした後、今日も門下生達が怪我なく鍛錬できるように、神棚に手を合わせる。

しかし清々しい。

清浄に保たれた道場というのは、神聖ささえ漂うものだ。

「なぁ、おめぇもそう思わねぇか?臥龍」

龍太郎は己の内に問い掛ける。

…彼は身の内に、巨大な龍を封じ込められている。

かつて天神の地を蹂躙したという、大陸から渡ってきた神獣。

その目に余る暴虐ぶりから、遥か昔に佐倉の眷属や幽霊時代の小岩井といった面々によって、丹下の祖先の『血』に封印されたのだ。

龍太郎の代になって、その臥龍は封印の中でとはいえ覚醒したのだが。

「…相変わらずだんまりかぁ…」

溜息をつく龍太郎。

ここ十年ほど、臥龍は龍太郎の呼び掛けに反応する事がない。

昔は龍太郎を宿主として認め、必要な時にはその力も貸してくれていたというのに。

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