龍乃一味のカオスな学園生活
一方、こちらは武を見ていた師範の瑠璃。

「武」

腕組みしていた瑠璃は、武を呼び寄せる。

「何でしょうか、次期宗主」

「…その刀を見せてみろ」

瑠璃は半ば強引に、武の手の中の刀、"駄作"韋駄天を奪い取り、抜いて見る。

「……」

数珠刃と呼ばれる刃紋が施された刀。

この数珠刃が施された日本刀としては、かの有名な新撰組局長・近藤 勇の愛刀『長曾根虎徹』などの虎徹一派がある。

「ちんちくりんの癖になかなかの業物を持っているな。龍之介の期待の表れか」

韋駄天をポイと投げ返す瑠璃。

「極限まで薄く鍛えた刀身、長さも一般的な刀よりやや短め…成程、貴様専用に拵えた刀…いわば『おぉだぁめいど』という奴か…」

あの一瞬だけで、韋駄天の特徴を全て見抜いている。

流石は瑠璃、次期夕城宗主だ。

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