龍乃一味のカオスな学園生活
そういう訳で急遽決まった琥珀と武の練習試合という名の仕合。

その気になっていなかったので、イマイチ気合が乗らないが。

「よろしくお願いします」

道場の中央、対峙した二人が一礼する。

「それでは…はじめいっ!」

瑠璃の号令で仕合は始まった。

抜刀と同時に構える両者。

まずは琥珀から動く。

「序曲(ウーベルチュール)」

交響曲形式(シンフォニア)という様々な曲(技)を組み合わせつつ終わりに導く琴月の剣技。

全ての剣技は必ず序曲から始まり、終曲で終わる。

琴月宗家の娘である琥珀は、その王道たる楽曲(剣技)の名手。

亜流の楽曲(剣技)を使う分家の刹那と違い、いわばメジャーな曲が得意といった所か。

その奏でる曲は、何れも即効性があり、殺傷力の高いもの。

もし現在も琴月流が裏の流派ならば、今頃琥珀は百人斬りの人斬りとして名を馳せていた事だろう。

その琥珀の放つ序曲(ウーベルチュール)だ。

しくじる事など有り得なかったが。

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