龍乃一味のカオスな学園生活
不安の残る生徒会始動。

だがそれを不安と感じないのが、龍乃のポジティブな所。

放課後。

「ただいまぁっと」

まだ生徒会もまともに機能していない事だし、龍乃はさっさと帰宅する。

彼女の家は高等部校庭の掘っ立て小屋…ではなく、天神地区の一角にある、そこそこ大きな家である。

離れには看板が出ている。

『龍娘流中国拳法丹下道場』

龍乃が生まれる少し前に開いた道場だ。

小夜と結婚した龍太郎が、いつまでも警備員だけでは家族を養えないと転職を考えていた頃、気まぐれに結構大きな空手団体のオープントーナメントに出場した事がある。

まぁ優勝してしまった訳だが。

それが切っ掛けで、龍太郎は格闘技の世界で注目を浴びるようになり、あれよあれよという間にプロデビュー。

あっちこっちの大会でブッチギリの優勝を飾っては優勝賞金を掻っ攫い、この家と道場を持つに至った。

今では門下生の月謝で、家族が満足に暮らせるだけの蓄えがある。

小夜も教師を続けているから、割と裕福な方だ。

< 38 / 852 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop