龍乃一味のカオスな学園生活
琴月別邸に帰り、自室で新しい用紙を取り出し、自分で予算一覧表を作成してみるものの、分からない所だらけですぐに行き詰まる。

困った時は大抵刹那に頼んでいたのだが、本日はそういう訳にいかない。

母の奏多に訊いてみようか。

しかし奏多は台所で夕食の準備に忙しそうだ。

父の孔雀も書斎で調べ物やら何やらしている。

と。

「琥珀ちゃん?」

廊下で声をかけられた。

振り向くとそこには、着流し姿の久遠。

「何してるの?」

「いえ…その…生徒会の書類を…」

困った顔をして呟く琥珀。

ぽややんとしているように見えて、久遠はたまに鋭い洞察力を覗かせる事がある。

皆まで言わないうちに。

「ああ、しなくていいよそんな事」

久遠はニッコリ微笑んで踵を返す。

「刹那が仕上げて、ちゃんと保管している筈だから」

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