龍乃一味のカオスな学園生活
と。

「父ちゃん、おじさん」

いつの間にか退席していた龍乃が、片足で行儀悪く襖を開ける。

「お茶飲む?」

「む」

見れば彼女は、両手で盆を持っていた。

盆の上には三人分の揃いでない湯呑みと茶請けの饅頭。

龍乃が静々と茶を出す筈もなく、翡翠の前に置かれた湯呑みには、茶が波を立てていた。

「……」

黙って湯呑みを手にし、一口飲む。

温い。

おまけに出涸らしだ。

しかも普段食事の時に飲むような玄米茶。

普通、客には玉露くらい出すものだ。

「茶の淹れ方も教えてないのか、丹下」

「あ゛ぁ?ちょっと話しかけんなよ旦那、次の一手が決まらねぇ」

この親にしてこの子あり。

こやつの嫁に言った方が早いか。

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