龍乃一味のカオスな学園生活
「瑠璃、久し振りじゃねぇか。随分無愛想になったなぁ」

次期宗主の背中を馴れ馴れしくバンバン叩く男。

この新年の席に、薄汚れた作務衣で訪問しているのは彼だけだ。

「おい貴様」

夕城分家の者…といっても随分遠縁の実力すら怪しい者だが…が、その男に歩み寄る。

「貴様どこの野良犬だ、由緒正しき夕城次期宗主に何たる態度」

「あぁ?」

ガシガシと頭を掻きながら、作務衣の男は振り向いた。

「俺ぁめのうの婿の夕城 龍之介ってもんだ」

「めのう殿の婿?ならば婿入りか。純粋なる夕城の血統ではないという事だな」

分家の男はせせら笑う。

「次期宗主の妹君の婿となり、些か増長しているようだな。次期宗主に馴れ馴れしい態度をとった不遜、この俺がこの場で猛省させて…」

腰の得物を抜きかけて。

「止しな」

龍之介は瞬時に片足を上げ、柄尻を踏んで抜刀を阻止した。

「めでてぇ新年会の席だ。抜刀なんて無粋な事しちゃいけねぇやな」

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