続・迷惑なイケメンに好かれました。
「ーー市原くん!」
妙に気まずい空気が流れる空間に届いたのは、1人の女の子の声。
"市原くん" その単語に反応したということは、目の前の彼は "市原 " というんだろう。
何て知ったところでどうするんだ、という情報を得た私が声がした方に視線を向ければ。
……見覚えのある顔をした女の子がこちらに走ってくるのが見えた。
名前は知らない。
どんな声なのかも何が好きなのかも知らない。
ただ、顔だけ知っている女の子。
「……海の、彼女」
綺麗な黒い髪。
透き通るような白い肌。
綺麗な女の子だ、写真で見るよりもずっと。