強がりウサギの不器用な恋

今じっと見つめられているのは顔。
だけど見透かされたのは………私の心のほうだった。

それが悔しくて、眉間にグっとシワが寄る。


目の前の男の顔が、妖艶にニヤリと微笑んだ。

反則技の色気をふんだんに撒き散らせば、また私の唇にターゲットを絞り……


唇と唇がふわりと重なる。

だけど私は………今度は抵抗しなかった。


心の中で流している涙を、この男なら拭ってくれるような気がしたから。


男は再び私の髪の中に指を差し込んで……
後頭部を支えるようにして、角度を変えてキスを繰り返す。


遠慮がちに舌を侵入させてこられても、特別嫌な感じはしなかった。




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