†ヴァンパイアの恋情†

 ————次の日。

 朝早くに教室に入り、鞄を置いてからすぐに図書館に向かった。
 1秒でも長く教室には居たくないもの。

 無意識で本を取り、席に座った。

 昨日…皇は、どうしたのかしらね。

 手元の本に目線を落とす。

「恋愛?」

 無意識とはいえ、いつもはとるはずのないものを手に取っていた。

 しかも、

「ヴァンパイア、か…」

 普通の女子高生とヴァンパイアの恋。
 こんな本がここにあったなんて。知らなかったわ。

 ページをめくる。
 どうせ、今日はずっとここにいるんだし、暇つぶしよ。

 内容は、反発していた2人が次第に惹かれあっていくもの。
 よくある話ね。

 

『良い血の香りだ。ますま欲しくなった』

『何かしら。言っておくけど、私はそれくらいじゃ…』

 <ガブッ>

『あっ…あ!んっ…やめなさい!』

『…上等な血だな。必ずお前をもらう。覚悟しておけ』



 …勝手な奴ね。
 それにしても、血を吸われるときにこんな声が出るのかしら。

 そうじゃなくても、

 ————最初のセリフ、聞いたことがあるわね。
 






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