天才少女の復讐法。


…あたしの裏の顔に、黒瀬は気付いていない。


それもそのはずだ。


あたしがすべてを演じてることに
黒瀬が気付くはずがないからだ。


つまり、完璧あたしの方が有利な状況。


……だけど


『瀬織って、良い奴なんだな』


不意に、黒瀬が言った言葉を思い出す。


……あたしが良い奴?


「……っ」


…分かってる。……分かってるよ。


動揺がどれだけ危険なことか、
あたしが1番理解している。


でも、思わず脳裏に蘇ってしまったんだ。


幸せで、復讐心なんか全くなかった…
あの頃を__。


思い出なんて、全部捨てたはずなのに………__

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