【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「あはは。ねぇ見た? 幹太の怒った顔、最高!」
仕事が終わると同時に休憩室に走って着替えて私が先に裏から出た。
その時には、幹太さんは調理室から出て、腰にまいたエプロンを脱いでいた。
私に気がついた幹太さんは首で外を示して、乗っていけと促されたので私は愛想笑いで誤魔化して言った。
『あの、日高さんが先に帰りますって、表から帰りました』
『っち。あいつ』
そのまま追いつこうと車で飛び出した幹太さんを、日高さんは大きなお腹を抱えて笑い、笑い過ぎてお腹が張ってしまい慌てて近くのカフェに逃げてきた。
けれど目の前の日高さんはホットココアを前にまだ笑っている。
「良かったんですか? 幹太さん」
「いいの。いいの。馬鹿みたいに律儀に私の送迎しちゃってさ、――私は一人でも平気なのに。まぁ、平気じゃないぐらい取り乱してたから幹太に家に入りこまれて、春月屋で働くことになったんだけど」
急に真面目な顔になった日高さんと、私の頼んだアールグレイの紅茶の氷が解けてカランと鳴ったのはほぼ同時だった。
「何で幹太が毎日私を送迎してると思う?」
それは、突然の質問だった。